太田和彦の推奨店を巡っていた時代がありました。
大当たりだった旭川の「独酌三四郎」、秋田の「酒盃」。このあたりは「至高の酒場リスト」にちらっと置いてあります。地方の名店を多数教えていただいたなー。
御宿「舟勝」も太田和彦が激賞する店で、10年来の宿願叶って訪問。彼がまだ資生堂時代に、旨い店を探して房総をさまよっていたところ偶然出逢ったらしい。ゴミに並んでいた酒の空き瓶に驚いたとか。
住宅街での営業ゆえ、電話をかけるとご主人が駅まで出迎えてくれます。近年は立地の問題で行けてないですが、過去2回分まぜまぜで。(2009年・2014年)

料理はお任せ、酒は冷蔵庫に全国の銘酒が揃っています。まずは前菜セット。
前菜のながらみが懐かしい感じ。種名はキサゴ、くるくる出してつるりと。千葉ではよく見かけますね。

素晴らしい刺盛の一部。特筆は左手前のイカワタ。
ルイベにしてあって、舌で溶かすと酒がうまくて泣ける!

ルイベとは別の回に出た、自家製いか沖漬け。
最高のスルメイカを船上で即冷凍、そのまま熟成しているから肝が丸いという。
たまらん。

カジキマグロの胃袋!
市場には流通しないこれぞ漁師メシ。

舟勝名物はいろいろあるけど、あえて言えば2つ。その1、酢なめろう。
鰺をなめろうにして酢に浸す。表面が白くなるまで〆加減が進むと食べ頃。
中はレアな赤身、酢は強めで酒に合う。絶品!

舟勝名物その2、蟹濾し(カニコシ)。
売り物にならない蟹を殻ごと潰して何度も濾すと現れる、白いふわふわ。
地元ではH蟹と呼ばれているのをすり潰して煮たスープ状のもの(不定期ラッキーメニューらしい)。濃厚な出汁で本当に旨い。
蟹の魂が凝縮した凄い汁。

金目鯛と竹麦魚(ほうぼう)の煮付

鰹のサラダ仕立て。

塩辛!

野菜の炊き合わせが出ると、終わりが近いです。

ごはんに漬物がまたうまい!
ご主人が好きなので、酒も凄い。
玄関脇の冷蔵庫に所狭しと並ぶ銘酒は、そうそうお目にかかれないラインナップ。これを勝手に出して、奥さんにお願いして注いでもらう。
初訪時いただいたのは「あぶくま あらばしり」「豊賀 特別純米」のあと、開封に細心の注意を要する「神亀 活性にごり生酒」の口開け。締めには、非売品の長期熟成古酒「東灘秘蔵大古酒」を味見させてもらう。
太田和彦を魅了した村山さんご夫婦の人柄。コースは激安(しかもご主人の送迎つき)。最高に素敵な店です。
食事の量は多めなので、ある程度の人数で行って楽しく呑むのが最高だと思います。そうなるとカウンターではなくなるのかな?

問題は東京への終電。
以前は、御宿20:12→東京21:39という特急があったのだが、調べてみたらなくなってるという。(2025年11月現在)
普通列車だと御宿21:55→千葉:23:13で乗換。東京まで快速で0:05着、新宿まで総武線各停で0:29着。
到着時刻はともかく、普通座席で2時間以上は長い。
しんどい人は、最低でも千葉泊まり。できれば鴨川あたりに泊まりましょう(2014年はそうした)。都内からだと(あたしは神奈川県民なのでさらに)ハードルの高い立地ですが、ぜひ!













